ひどくあっけらかんとした人を好きになってしまった。

子どもの頃ずっと本を読んでいたこと、概ね良かったと思っているけれど、行きすぎたメタに苛まれるのはこの所為か。

俯瞰しすぎるのは駄目。例えばたった今のこの幸せも、老けた私がしたり顔で「お前、これが青春だ。さあ味わいなさい。一秒後に不幸になるやもしらん。構うな。今に私が詩にしてやる」と白けた幽体離脱を起こしてしまう。

青春に拘る心は、もう老いに気づき始めている。

恋慕とは、逃避だ、手段だ、まやかしだ。会いたいのが、触れたいのが、脳の暇潰しでないとどうやって言い切れる?

老いと退屈を逃れるために、人はいくらでも罪を犯す。