古本屋に来た。
本屋は物と情報の量でパニックになるから嫌いだけど今から喫茶店で読む本を調達しないといけない。
辛い気持ち、それも女にしか分からない気持ちの筈だから、女が書いた、とびきり寂しい本がいい。
だけど私は作家を知らない。とりあえず聞いたことのある女の作家の本を数冊手に取った。
…駄目だ、あらすじがあまりにも私の状況とかけ離れている。これもドラマっぽくて駄目。なんだよ、お金持ちなんて出てこなくていい。
綿矢りさの『勝手にふるえてろ』があった。前から捨て台詞みたいなタイトルがなんとなくいいなと思っていた。
あらすじを読んで、もういいやと思った。
詩は本当にしんどくなるからよして、程よく共感できて、程よくしみったれた話が良かったけど、そんなの急に見つかるはずない。
最後に手癖で太宰のある棚を見たら、7,8冊全部が『人間失格』だった。
私は古本屋を出た。